「著作権」は、著作者にその著作物の利用を独占させる権利です。この著作物の利用を独占させる権利が保護されるためには、まず、
保護に値する、A :「著作物」であることが必要です。これは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」とされていて、著作権法に例示列挙されています。
つぎに著作物の B :「利用」には、いろいろな態様があります。たとえば、小説や絵画であれば、同じものを作成したり(①複製)、別な表現を付け加えたりすること(②翻案)があります。翻案の場合は現著作物の権利者にも無断利用を禁止する権利(③二次的著作物利用権)があります。
これらの著作物(映画以外)は、その作成後、原作品や複製物が公衆に譲渡されたり(④原作品・複製物譲渡権)、複製物については、公衆に貸与すること(⑤複製物貸与権)があります。
他には、たとえば、自作の映画であれば上映したり(⑥上映権)、自作の映画を複製して公衆に譲渡または貸与すること(複製物頒布権)があります。また、たとえば、自分の撮影した写真であれば、これを公衆に対して無線または有線で送信したりインターネットを介してオン・デマンド受信される情報の送信をしたり(⑦公衆送信権、サーバーに置くのは⑧公衆送信可能化権)することがあります。さらに、それを受信装置を用いて公衆に視聴させたりすること(⑨公伝達権)があります。
この他、たとえば、小説であれば、これを朗読したり(⑩口述権)、たとえば、楽譜であれば、演奏したり(⑪演奏権)、小説を舞台で演じたりすること(⑫上演権)があります。また、たとえば、絵画または未発行の写真の現作品を公衆に対して展示したりすること(⑬展示権)があります。
著作権とは、この①〜⑬にあるような権利(支分権)の束を意味しており、著作権者は、通常、それらの権利の束を独占して有しています。したがって、著作権者の承諾なく、①〜⑬の権利行使と同じ行為をするとそれぞれの権利の侵害になります。
もっとも、法律上、著作権が制限される場合が認められてますので(30条~47条の2)、一見、著作権侵害と思われる行為であっても、許される場合があります。
著作権侵害事件では、
1:対象物が著作物といえるか
2:その行為が「複製」等といえるか
3:著作権制限規定に該当するか
などが問題となり、主要な争点は侵害行為の差し止めの可否となります(損害賠償も問題になりますが、残念ながら裁判所で認められる金額が低いのが現状です)。